ぼくには世界を救う力がない。でも世界を変えたいと必死に思う。/南無一
世界は敵意と悪意で充ちている
暗黒の嘴で抉り喰われる民族とは 何か?
殺戮と暴力と攻撃が融和を汚辱する
固執する差別が残忍な狂気を産み
権力という傲慢の手袋を嵌めて扼殺を繰り返す
憎悪の布に覆われた悲しみがさらに深い憎悪を産み落とす
復讐の連鎖がもたらすものは荒廃した未来だけだ
神は灼熱の砂漠に干乾びた屍体を晒している
パンドラの罅割れた壺の底に張りついた希望を
取り出せるものは誰もいない
絶望? その文字を書きつける藁半紙さえない
嘆きを超えた悲しみの深淵に佇む者たちの
その指先のささくれさえ見ることができない
黒焦げの呻きに満ちた砂地に吹く風の夢には色彩がない
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