埋めるために1.10/竜門勇気
くへいかないように
長い間冷たくなるばかりの腹をまた撫でていた
とても飽きそうになかった 永遠にこうしていたかった
優しい目で 彼は遠くを見ている かつて彼が飽きずに眺めていた出窓から 最期の世界を
優しい目で 彼は遠くを見ている かつて彼が飽きずに眺めていた出窓から 僕とお前の最期の世界を
濡れたタオルで体を拭いてやる
彼が生きている間に僕は
学校から逃げたり彼女が出来たりふられたり自分を殺そうと試みたりまた人を愛したりした
セミが夏以外に世界から消え失せてるわけじゃないように
確かにそこにいたのだ 少なくとも同じ星にいたのだ
濡れた鼻を振り回してわがままをいったり
僕
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