Time Waits For No One/ホロウ・シカエルボク
アは合せ木を白く塗ったもので、ブロックチョコのようにガラスを嵌め込んである、そこから見えるフローリングはとても暖かそうな陽だまりに包まれている、実際にはそこにぬくもりなどないのだけれど…レバーハンドルを握り押し下げると、長く眠ったあとの伸びのような音を立ててドアは開く、リビングもやはりきれいに片付けられている、年月の分だけ積もった埃以外そこにはなにもない、かつてそこにあったさまざまなうごめきはもう二度と繰り返されることはない―どうして少し甘い香りがするのだろう?でもその香りの正体は絶対に知ることが出来ない、探して見つかるような秘密はもうここには仕掛けられない―リビングの奥にはふたつの扉がある、ちょ
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