Time Waits For No One/ホロウ・シカエルボク
クに近づき、化石のような蛇口を捻ってみる、迷子になってもう数十年は経つのだろう赤茶けた水が、臨終のときの最後の息のように漏れる、排水溝に、流れていく…彼らはそこできっと、時との再会を喜ぶのだろう
シンクの横の窓からは雑草の絨毯が敷き詰められた空地が見える、あそこには昔何か大きな建物があって…人が殺されたことがきっかけで閉鎖されて、いつしか取り壊されていた、取り壊されてからもあの草むらの中に何人かと何匹かの死体が投げ込まれて騒ぎになった、凍てつく風に色褪せた草がそよぐさまはなぜか高温の炎に似ている、壁掛けの時計は似て非なる時間を指したままとまっている…時計の下にはリビングへ続くドアがある
ドアは
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