幸福論/葉leaf
光も厳しく否定するような熱に満ちた空間、人はそこで泣き崩れることしかできないような空間、その空間を支配しているのが本当の幸せではないでしょうか。
幸せであることは人間であるための条件です。幸せでない人は人間としてどこか奇形と言え、人間として不完全です。ですが、不幸せな人の作り出すもの、例えば彫刻・絵画・文学、どれをとっても一流に美しいではないですか。幸せと美しさは矛盾するのです。不幸せと美しさが整合するのです。だから、結婚式の美しさ、新郎新婦の圧倒的なたたずまい、あれは本当の美しさではない。葬式の悲惨さ、離婚裁判のやるせなさ、そこに美しさが宿るのです。美しさとは不幸せがその欠落を埋めるために
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