血/葉leaf
客同士、たまたま同じ講堂で隣に座った学生同士、そんな初々しさとよそよそしさが、家族の濃密なつながりを成立させるために不可欠になっているのだ。家族がいる。呼吸をする。家族がいる。風が立つ。家族が話す。草がなびく。家族は人間を取り囲む自然そのものだ。)
家族においては主観性が私の形体を超え出てしまっている。家族の誇りは私の誇り、家族の恥は私の恥。家族の磁場が身びいきの振り子を揺らし、家族の電場が近親憎悪の嵐を吹かす。家族のことを眺めるとき、どんなに透明なメガネでも巧妙にレンズが加工されているし、そもそもメガネをかけないと肉眼が自ら色を帯びてしまう。家族の客観評価は記述され得ず、すべての評価は主観
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