プレゼント/Lucy
私の知らないところで
私の吐いた言葉がトゲを持ち
誰かの掌を刺す
私が投げかけた一言が
誰かの心の壁に
釘で打ちつけられたレリーフのように
いつまでも掛っている
私がそれを忘れた後も
それは古びた銅版画
繰り返す季節の記憶を追い抜きながら
時の隙間を疾走する
壁を腐食させ
ささくれた皮膚に浸潤して
艶やかだったあなたの頬を歪ませる
目尻を吊り上げさせ
涙袋に深い皺を刻みつけ
宿根草のように
枯れたのちも
あなたの耳奥の三半規管に根を拡げ
網膜を白く曇らせる
そうしていよいよ
年月に病んだあなたが
私の前に現れ
嘗て友情と呼んでいた
古びた
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