プレゼント/Lucy
 
びた莢から
干からびた空豆を取り出すように
黒く固まった憎しみの礫を
私に差し出す

それはくしゃくしゃに折りたたまれた
薄い金属の板
広げようとする私の指に
刺さり切りつける
血に汚れながら開かれたそれは
見覚えのある冬景色
べったりと裏に悪意の付着した

私は気付く
それを贈ったのは私だと
故意に忘れた
知らず知らずではなく
なにげなくでもない
妬みで裏打ちした言葉
己を偽るための甘味は舌を痺れさせ
耳触りのよい言い訳で包装し
善意のリボンまでかけて
あの日やすやすと手渡したのだ






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