手をとる/鵜飼千代子
 

食べ残すのが嫌で
外食する時には
なかなか注文が決まらなかった

当時のわたし。

神谷バーで、
エビピラフを頼んだけれど食べきれなくて
お皿を睨んでいたら

「もう、召し上がらないですか?
いただいてもいいでしょうか?
大村さんいただきましょう。」
と、嬉しそうに食べてくれた。

レンジでチンした
冷凍ピラフのような味
冷凍ピラフはおいしいけれど
食べきれなかった

食べ残さずに済んでほっとしたけれど
あんまり嬉しそうだったので少し気持ちが悪かった
大村さんは苦虫を噛みつぶしたような顔で付き合っていた
わたしが食べていたスプーンだった

手をと
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