手をとる/鵜飼千代子
食べ残すのが嫌で
外食する時には
なかなか注文が決まらなかった
当時のわたし。
神谷バーで、
エビピラフを頼んだけれど食べきれなくて
お皿を睨んでいたら
「もう、召し上がらないですか?
いただいてもいいでしょうか?
大村さんいただきましょう。」
と、嬉しそうに食べてくれた。
レンジでチンした
冷凍ピラフのような味
冷凍ピラフはおいしいけれど
食べきれなかった
食べ残さずに済んでほっとしたけれど
あんまり嬉しそうだったので少し気持ちが悪かった
大村さんは苦虫を噛みつぶしたような顔で付き合っていた
わたしが食べていたスプーンだった
手をと
[次のページ]
戻る 編 削 Point(18)