手をとる/
鵜飼千代子
をとる
立ちすくんでいるわたしの
手をとる
17年前
そのときわたしは30歳だった
蘇る様々なこと
その時に感じていても
素直に受け止めきれなかったあれこれ
しずかにしずかに
沁みてくる
手をとる
あの時わたしがしてもらった温もりを
わたしは誰かに手渡せるだろうか
*
手をとる
手をとる
生きている確かさを
交換する
瞳を見交わす
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