ニューハーバー/草野大悟2
子は、男の胸に顔をあずけた。男の胸元から雄の匂いがした。智子の鼻腔をくすぐるその匂いは、智子の雌を湿らせ、瞳を潤ませた。
その時、ぐっ、と男が智子の腰を引き寄せた。男の太股が智子の両足を割り、その部分を刺激した。
「あっ……」
思わず声を漏らした。男を見上げると、無表情のまま、周りで踊っている多くのカップルに目を配っている。
曲が終わった。智子は、ふらつきながら席に戻った。
「トモちゃん、酔った? 大丈夫かい?」
野原が訊ねた。
「ええ、大丈夫です。ちょっと化粧室に行ってきます。ごめんなさい」
席を外して化粧室に向かう。ドアを開けると同時に男が入って来て、智子の口を塞いだ
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