ニューハーバー/草野大悟2
究室から飛び出した。
キャンパスには、大学生たちが屈託のない笑顔を浮かべながら歩いていた。……絶対に許さない。涙が流れてきた。それを拭いもせず真っ直ぐ前を見つめて歩く。……許すものか。
学園祭で浮かれている学生たちが、怪訝そうな目を向けてすれ違っていった。
西橋の言葉に反発するかのように懸命に働いた。会社の事務員、保険の外交員、ガソリンスタンドの従業員、ウエイトレス、清掃員、ホステス、何でもした。昼も夜も働いた。しかし、借金は減るどころか、利子で日毎に膨れ上がるばかりだった。
クラブ「マリノス」に、シャワーロード一帯で、手広く風俗店を展開する野原が現われるようになったのはそんな時だ
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