『サフランの髪飾り』/座一
い。
イナフは砂のなかに自分を埋めると、静かに手を払い、
サフランのめしべをばら撒いて、みるみる湧き出る泉の中に浸かり、両腕両脚、背中を全身全霊を黄金色に染め上げて、叫んだのだ。
マリークロッカスは驚いた。イナフの声など、一度たりとも聞いたことがなかったからだ。
その声色は切り裂くように鋭利でさらに圧倒的。マリークロッカスはその叫びに、耳をふさぐこともできず、死に際の断末魔のような痛々しさ、恐怖を感じてただただ脅え、ただただ立ち尽くしていた。
黄金の光柱はギラギラと、どこまでも澄み切った天に続く。
それは一昼夜続いた。夜などその明るさに、昼間かと見紛うほど。
声がかれて、音の声の根が
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