『サフランの髪飾り』/座一
 
っていた。
「たしかあそこには サフラン畑があったはず・・・」
何てこともないふうなのに マリークロッカスは自分が出かけるのも忘れて いつまでもその方向を見つめ 立ち尽くしていた。
そして玄関を出ると、マリークロッカスは 迷わず 12時方向へ向かった。

水の中に居るような、どこまでも続くすきとおった空風景。サフラン畑は紫色に風吹かれ、たおやかに波打っていた。
そんな只中、マリークロッカスは、ぴゅるるっと小さな渦巻き風に運ばれてきた、古びたチケットを拾った。それには 『突風列車、リンカイゆき』 と書いてあった。

マリークロッカスは秋の終わりにしか吹かない、突風を原動力にした列車の
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