『サフランの髪飾り』/座一
イナフは目を閉じ 耳を閉じ つま先をそろえて12時方向を見つめている
その列車はやってきた。
サフランの花畑のなかを その列車は 悠然と走る
花たちは その風に揺られると まるで夢見ながら旅しているような 誇らしげな顔をした
屑屑と列なるつむじ風で指を切ってしまい 傷をなめると
この遥かなる景色は 水彩画のように にじんだ
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出かけようとしていたマリークロッカスは
ふいに12時の方向を見つめる
何かあったのだろうかと ほとんど虫の知らせで振り向いて。
にわか雨降る夜更け頃― さよならを言い忘れたような心残りが その方向に漂って
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