氷片に落ちるキャンディのエリザベラ/佐久間 肇
躯よりも大きな羽を
身分不相応だったのね、彼は失敗したわ
たくさんの骨を継ぎ足したから もう小鳥でもないのよ
目覚まし時計は不器用な小鳥のさえずりと同じね
とても耳障り
うるさいと 潰しちゃうわよ
潰しちゃうわよ
唐突に ざわめき始めた夜のいとまに手を伸ばす
小さな声で なんども鳴いてみた
少女のときに出していたあの歌いかたで
声は黒く落ちて 部屋の角から 蟻んこがたくさん列を作ってくる わたしのところへ
やめて 這い上がらないで
蟻んこがたくさん たくさん
足から 指先から 腕から 洋服の上から 洋服の中から 下着の中まで
蟻んこは わた
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