水面に垂らした絵具みたいに ほか3篇/きりえしふみ
 
かも

「分かっている」
と見きり発車して
「信じている」
と言い聞かせて
それでも走り出さなきゃ
一瞬の内に骨と皮になってしまうから

ぼくらのあいだで真実は半永久的に押し黙ったままだとしても


〜〜〜〜〜〜
  妄想の病


「きみのことが好きだ」って ある日
窮屈な心から想いが飛び出そうと無為な試みを繰り返すことで生ずる胸の痛みで気づいた
自分の目もまともに見れない
気の迷いだと思いたかった
どんなに逃避を願っても
いまのぼくはこの無意味そうな想いとセットで
きみがいまいる場所なんか知り得なくても
勝手に心だけできみにフライングしてた
ぼくは
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