人生を消費しないために/葉leaf
 
る。生活の質というのは、人間の意識や態度や環境の変化によりもたらされる、生活のそれぞれに異なった肌触りのことである。どんなに虚構を装っても、例えば一人暮らしの大学生と妻子を持ったサラリーマンでは自ずと書くものに違いが生じるであろう。そして、生活の質は人間が生きていく上でどんどん変わっていく。とすると、人生を消費しないためには、それぞれの人生の段階に応じて、それぞれの質感を十分味わい、次々と変わっていく生活の質を見逃さず批評し作品化することが一つの手である。
 書き手は何のために作品を書いているのか? それは一つには、自分の人生からより多くのものを能動的に引き出すためである。それは単なる生産ではな
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