滴り落ちる血のようなリズム/ホロウ・シカエルボク
 
、同種ですらない、俺自身でしかない、俺自身の細胞や精神を俺自身の展開から産まれてきたものたちが食らうのだ、言っただろう、この世には怖れるに値する出来事なんかないと、迷いなく殻を破って、出来立ての歯を俺の肉体に突き立てればいいさ―破れると同時に卵は消えていった、内側から殻を破ったはずのなにかしらの姿は一瞬も確認することが出来なかった、俺は捧げられることのなかった余りの生贄となり、数十分進んだだけの時計の表示を見つめていた、アンティーク・ショップで買った、文字を書いた小さな板がぺらんと捲れていくタイプのヤツだ…それは俺にこの世でもっとも「時間」というものを認識させるアイテムだ、時間は捲られていく、無機
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