宮澤賢治 文語詩未定稿『雪峡』の鑑賞のために/Sabu
」と同じくらいに重要なものです。
東北の雪国に住んでいると、ひどい荒天の日の翌朝に、前日の吹雪がまるで嘘であったかのような青空に出会うことがあります。そういう日には、しばしば大きな雲の影から太陽(日天子)が踊り出るように顔を出す情景を目にします。それは力強く美しい冬の情景であり、Giton氏がいう災厄の形象というような秘密めいた不穏な印象はありません。Giton氏は「奔せ出で」という日天子の描写を、「デフォルメされた暴力的な表現」と受け止めますが、全く異なる「リアルな深雪晴れの天空の描写」と受け止めることもできます。むしろ後者のほうが、童話「ひかりの素足」に登場する「その人」のイメージにも重なる
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