宮澤賢治 文語詩未定稿『雪峡』の鑑賞のために/Sabu
なると思います。
さらに「神楽」との関連でいえば、地吹雪の夜と、光あふれる深雪晴れの朝が入れ替わる、ちょうどそのように、大自然の恐ろしさとやさしさは表裏一体のものです。そして、先に述べた「神楽」というものの源流にある「天地創造の神話」や「一陽来復」に込められた人々の祈りは、そういった原初的な自然感覚に通じるものであったと私は考えます。人々が生死のはざまで抱く切実な思いは、古代から現代までそう簡単に変わるものではありません。そのような解釈があるからこそ、「口碑」にあった児の不思議な表情を「神楽」という言葉の背後に思い描くことも可能になります。Giton氏は記紀神話や一陽来復への連想を「おおら
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