丘/Giton
ぼくの手には枯れた花束が握られている
ドライフラワーと言うにはあまりにも古びて褐色に焼け
死滅の象徴のように脆く硬く固結して動かない
重さのないその花束を捧げぼくは丘に立ちつくす
過去を懐かしむわけではないが未来を歓び迎えるわけでもなく
ただ見下ろすように遥かを望む
その坂にはかつては森があり
ぼくらが小学生のころは古い大きな常緑樹がたくさんあって
冬でもぶあつい硬い葉を木枯らしの中でざわざわと鳴らしていたし
草ぼうぼうで級友は怖がって踏み込もうともしなかった
けれどもぼくは背が低かったしいつも優等生を演じながら
ひそかに禁令箇条を破ることを楽しみにしていたので
学校か
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