神様とぼく/イナエ
 
寝しているオレを呼び起こし
初穂料をよこせという

オレは即座に断った
 「ボクは無神論者だ」と・・・
管理人はびっくりした顔して帰っていったが

夕方 
おふくろはアンパン二・三個ほど買えるお金を
隣の 美しい 優しい 奥さんから借りて
神様に謝りに行った
「家を貧乏から救えない神様の方が
 息子の遠足より大事か」
と言うオレに
「大人の世界の付きあいは見栄もあれば意地もある
長いものには巻かれなきゃ 生きても行けない」
と ぼそぼそ言って

母が死んで
大人になったボクは
大人の世界のしきたりに順って
意地と見栄と長いものに巻かれ
神様に仲直りを申し
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