神様とぼく/イナエ
申し出る
正月にアンパン十個ほどの賽銭を上げ
子供が生まると宮参りで願をかけ
進学祈願にビーフステーキ一枚ほど張り込んで
厄歳には
神様の管理人の言いなりに初穂料を払い
だが信仰も信心も無いオレに神様はそっぽむき
そればかりか 仕返しまでするではないか
初詣に行けば
振り袖姿の娘さんを眺めながら
石段を下りるオレの 足下から石を消し
賽銭箱にチャリンと銭放り込み
「たまには儲けさせてくれ」と愚痴れば
オレを走る車に当て 空を飛ばして
保険会社に慰謝料払わせてごまかし
今日も 詩の最初の一行を意地悪していて
否否
それはオレの考え違いだ
神様は寛大なお方
ぼくにこんな素敵な詩を下さった
ではないか
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