通り雨が過ぎても/霜天
そうして
僕らのこれまでの順路を
紙の上に書き出してみる
その上に雲なんか浮かべたりして
無駄に力を入れて笑ってみたり
過ぎ去ったあとで
自然に昔話ができれば
それはそれで、柔らかなことだろうけど
簡単にいかない僕らは
開かない改札に引っかかっただけで
不安になってしまう
いつもだ
にわか雨を用心して傘を用意する
湧き上がる雲が、山に見えたり
何かをひとつやり過ごすたびに
見上げてしまう場所だから
静かな煙の中の街では
いつまでも振り切れないままで
傘を忘れた日には
濡れて張り付いた服の
雨が止めば暖かいこと
そ
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