通り雨が過ぎても/
霜天
それは自然な速度で
絶壁の雲が揺れ動いている
動けない夜に、世界を叩く雨の音
とか
息を潜めて、乗り越えてみれば
傘の中、雨の内側
雨粒の溶けること
白に塗りつぶされて
僕らの周りが加速していく
傘の内側で叩き続けた音も
いつかは笑えるように
透明になっていく
少しずつ
通り雨が過ぎても
傘をさすことを止められずに
すべてが透明になっていく
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