弾道(千鳥足で、無闇に。)/ホロウ・シカエルボク
うするつもりだったのかどうかいまとなっては釈然としないけれど、何時間も自殺ごっこに精を出していた日だってあったよな。小学校の三年生くらいの、おそらくは休みの日の午後だった。あの時家族は皆出はらっていて、家にはお前一人しか居なかった。お前はあらゆる自殺の真似事をしたっけな。そうしてそんな遊びの本質のようなものに思いを馳せ、そんな戯れのせいで本当に死んでしまうような人間だってきっと居るんだろうな、なんて考えたっけな。本当にあの時死ぬつもりがあったのかまるで思い出せない。近頃なぜかそのある日の午後のことが無性に気にかかる。静かな午後だった、本当に静かな午後だったな。まるで誰かの通夜みたいな午後だったさ。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)