トラッシュ(覗き込んだつもりが実は)/ホロウ・シカエルボク
 
された糞便が混じり合った臭いはまるで具現化された呪いのような印象を人々に与えた、その日のうちに工場は閉鎖された、責任者は行方をくらまし、誰も後始末をすることがなかった、工場長の死は印画紙のようにそこに焼き付けられてしばらく生き続けた

60年ほど前にある河で溺れた少女はまだそこを出ていくことが出来ず、涙の後に湛えられた闇を映した瞳で河原に座り込んでいた、彼女の父も母もすでにこの世には居なかった、二人とも彼女のことを連れて行こうとこの河原に立ち寄ったけれど、お互いにその姿を目にすることも叶わなかった、彼女と彼らとでは立ち位置が違い過ぎた、彼らは絶望しながら去り、彼女はもはや描く感情すら無くただ座
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