墓参/MOJO
や、おれはさ、唯物史観の人だからさ」
「なにわけ解からないこと言ってるのよ」
「いつも言ってるじゃん。おれは無神論者だって」
「もう。天国のえこんちゃんが聞いたら悲しむわよ」
「だから死んじゃった人は存在してないわけで、その人は悲しみようがないのよ。存在してないんだからさ」
「そんなこと言って。太一も憶えてるでしょ? えこんちゃんの棺が焼き場に行くまえの日こと」
「そうそう。みんながいたときに電気がぱっと消えたじゃない」
えい子が病院で息をひきとり、かまぼこ型の棺に入れられ自宅に帰ってきた夜。一族が集まり、故人を偲んでいると、突然部屋の蛍光灯が消え、数秒後にもと通りに灯った。
「
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