墓参/MOJO
 
だ。三人はえい子の遺骨が眠る墓に向かっているのである。
 昨今、平均的な所得の都市生活者が、住居の近郊に墓地を購入するのは難しい。太一の父親は、えい子が亡くなった際、ここ富士山の裾野に広がる広大な墓苑に一区画を買った。郊外というよりは田舎である。それでも大手不動産会社に支払った金額は、新車のミニバンが買えるほどであった。
 田植えを控えて水を湛えた田んぼが、うねった道の両側に広がっている。こんもりとした針葉樹の林を抜けると見晴らしのよい小高い所へでた。そこからの遠景には、同じ大きさで、規則的に並ぶ無数の墓石が広がっていて、あたかも最初の牌が倒されるまえのドミノのようであった。

 御影石の
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