ライン/ホロウ・シカエルボク
 
いては知ることは出来ないだろう、と

やがて娘は運び出され、周辺は簡単に片付けられ、警官たちは居なくなった、しばらくの間は愚かな連中たちのざわめきがあったが、やがて誰もそこであったことには興味を示さなくなった、人混みは次第にまばらになり、やがて誰も居なくなった、ひとりの老婆がやって来て静かに手を合わせて少しの間祈った、それだけだった、持主の判らない錆びた建物はそれきりどんな意味も持つことはなかった

書き連ねられた言葉には偽りがあるだろう、それが真に正直な思いなら初めから言葉などに化けはしないだろう、何か引っかかるものがあるからこそそいつは言葉に化けた、正直な言葉など万にひとつもないのだ、
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