ライン/ホロウ・シカエルボク
ど
彼女はすぐに鈍感な幸せにどっぷりと使った連中の見世物になった、人だかりが出来て、携帯やスマートフォンのカメラのシャッター音があちこちでこだました、「キモい」だの「すげえ」だのと、お粗末な表現が雛鳥の囀りのように巻き起こった、そのうち臭いに耐えられなくなって、顔をしかめてそこを離れるものもいることはいた、でもそれは、臭いがどうのこうのというよりは、理性的な領域で許容出来うるか否かという問題なのかもしれなかった、「ツイッター」という言葉と「ヤバい」という言葉が聞こえた、警官がやって来て野次馬を下がらせた、警官たちは悲しいとも腹立たしいとも取れる表情で娘の死体を下ろし、死体袋に包んだ、奥に潜っ
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