邂逅/葉leaf
 
それらを受け止めながら、あとからそれが決して不条理でも暴力でもないことを確認するのだった。だから、私は漠然と仕事をしているときも、いつなんどき誰かに突然殴られるかもしれない、いつなんどき誰かに突然怒鳴られるかもしれない、という恐怖を抱き続けた。私は社会と直接接しながらも、当の社会は全く霧に包まれた混沌でしかなかったので、社会は恐怖の限りない源泉だったのだ。

私はそこで何か大きな転換が起こったことに気付いた。それまで、恐怖というものは私の実存から発されるものであって、飽くまで私が恐怖の発信源なのであって、全て感情や意志は私が主体になっているはずだった。だが、会社において、もはや恐怖は社会が生み
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