邂逅/葉leaf
 
生み出すものであった。社会が人の集団に秩序を与え、しかもその秩序が人の理解を超えるまで複雑化したとき、社会は一個の不条理として人間の恐怖の源泉となる。人間は恐怖を減らすために社会を作ったはずが、当の社会によって新たに多数の恐怖を生み出されてしまった。恐怖はもはや私の実存が特権的に支配するものではない。人を超えた社会が今や恐怖の主体であり、そのようにして主体は私から社会へと大幅に譲渡された。私は主体としての特権を社会に大幅に奪われてしまったのだ。その奪略が、私と社会との真の邂逅だった。


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