邂逅/葉leaf
のだった。それに対して会社では上下関係、指示系統がはっきりしていて、意思伝達の組織形態が明確に出来上がっているので、上司の権力はじかに私を支配するのだった。大学院は理論でもってすべてに覆いをかけていた。それに対し、会社は人間をむき出しの裸に変え、世界からの光の直射にさらすのだった。
入社して初めの数か月、起こる出来事はすべて唐突で突発的なもののように思えた。あとになって合理的な仕組みが分かっても、私に与えられる時点では、仕事や指令は不条理や暴力のような様相を呈していた。そしてそれらは私の身体を直接動かすものだったのだ。いわば仕事や指令は私の身体に降ってくる不条理な暴力のように思われ、私はそれ
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