透明な月がのぼる場所(ゴル投稿)/百均
なかった。
過子はオカリナの吹き方を知っていたから
黒い森の中をいくら歩いても
迷うことがなかった
虫達の騒めきと鳥達鳴き声は静かではなく饒舌だった
言葉をしらないのではなく言葉なんていらなかった
過子は森の奥で進む度に靴を脱ぎ
髪を纏めていたリボンを解き
靴下を脱いで
防護服を外し
最後にマスクをとった
白いワンピースを着た過子の裸足が苔の上に次々跡を残していった、
そしてまだできたばかりの洞の中に入ると
過子は動物達の開く演奏会の小さなステージに立って
名前の忘れられたうたを歌った
僕はそれに火を放った
僕はこの星に残された森を焼き払うようにいわれ
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