不器用な獣の手のひらの温度は/ホロウ・シカエルボク
らからも同じように
手を差し伸べるべきか考えてみるときだ
今はとてもにこやかにしてるけれど
次の瞬間にはナイフを取り出すかもしれない
俺たちにはいつでも瞬間しか存在しないけれど
瞬間にはいつでも
命を保証してくれるものなんかない
手を差し伸べてみるべきか考えてみるときだ
自動巻の時計がもう動かなくなるとき
どうしてあんなに律儀にしていたのか気づくだろう
綴り忘れた事柄はないか
歌い忘れた歌はないか
可能な限り気を配っておくんだね
すべてがゼロになるのは次の瞬間かもしれないぜ
すでに死んだ誰かが残したたくさんのレコードみたいに
いつまでも喋り続ける特別な機械をこしらえて
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