神/山人
ちまち過ぎていった。
「次の方、どうぞ・・・」
ドア越しではあるが、しっかりとした口調で、「神」は俊介を迎え入れた。
「なにか、お悩みでも・・・」
そういうと、「神」は古臭い大学ノートを取り出して、かなり速いスピードで何かを書き始めた。文字ではなく、専門的な速記文字なのであろうか。まったく俊介には理解できない字体であった。
「悩みと言いますか・・・まぁ・・」
そういうと、俊介は今の独り身の寂しさや離婚原因、会社での仕事上での鬱積などなど、巧妙に「神」によって誘導尋問されたかのごとくすらすらと語り始めていた。
「・・といった感じです」
そう締めくくると、大きく息を吐き出した。
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