神/山人
ない、人気の少ない店を選んだ。
昔ながらのメニューサンプルが飾られた古き良き時代の食堂があった。若い女の決められた台詞を無表情にしゃべるファーストフード店のような味気ない店に入るのは耐えがたかった。
暖簾をくぐると、ハイいらっしゃい・・と、静かな面持ちの中年の女が応対に出た。ほかに馴染みの客と思われる客が二人ほど居たが、店主と話をしたりと、一杯飲み屋代わりに利用している客のようだった。
野菜炒め定食が食いたかったが、ガスコンロの大きさを見てやめた。あの大きさではさしたる火力もなく、べたべたな野菜煮みたいなものになるであろうと予想されたからである。
月並みだったがチャーシュー麺を注文した
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