神/山人
 
した。

 俊介と沙希は四年前に入籍していた。馴染みの自動車部品製造会社に保険業務で出入りしていた当時、受付事務をしていた沙希とで出合ったのである。かなり男好きのする風貌で、わずか六ヶ月の付き合いで結婚した。性格は温厚で、料理もまずまずだった。ただ、普通ではない彼女特有の思考があり愕然としたものである。
 結婚して数ヶ月した頃、友達の家に泊まりに行ってくると言う。いろいろ聴いているうちにどうやら男友達のようで、それも独身で一人暮らしなのだという。俊介が怒ると、何怒ってるの?と聴く。とりあえずその時は納得させたが、後にも何度か実際に外泊をしたことがあり、不貞の証拠はないものの協議離婚が成立した
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