錆びついた歯車/まーつん
 
 僕なども、辛いことがあると
 それを、在り難そうに
 拝んでいたのだが

 鳥居の継ぎ目が
 軋み出し、螺子が緩んで
 何やら熱っぽい色の犇めき合う
 夕空を背にして
 崩れ落ちそうになっている
 気配を感じるのだ

 ギアボックスにしろ、鳥居にしろ、
 今、なんとなく、思いついた
 イメージなのだが

 それは、
 私たちの思考を
 駆動させるための
 仕組みであったり

 あるいは、
 私たちがすがりつく
 古くから受け継がれてきた
 価値観だったり

 そうした存在の、投影だ

 僕は今、
 何を信じていいのか
 わからない


[次のページ]
戻る   Point(12)