錆びついた歯車/まーつん
僕なども、辛いことがあると
それを、在り難そうに
拝んでいたのだが
鳥居の継ぎ目が
軋み出し、螺子が緩んで
何やら熱っぽい色の犇めき合う
夕空を背にして
崩れ落ちそうになっている
気配を感じるのだ
ギアボックスにしろ、鳥居にしろ、
今、なんとなく、思いついた
イメージなのだが
それは、
私たちの思考を
駆動させるための
仕組みであったり
あるいは、
私たちがすがりつく
古くから受け継がれてきた
価値観だったり
そうした存在の、投影だ
僕は今、
何を信じていいのか
わからない
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