笛吹き少年の行くえ(8)/Giton
 
間を超えた語りの支配するものとなってゆかねばならなかったのではないか。」(注:天澤退二郎「賢治詩のゆくえ──「文語詩稿」覚書」,pp.171-172,in:同『《宮澤賢治》鑑』,1986,筑摩書房,pp.162-172.)

天沢氏が「地下に地下構造を、地下礼拝堂(クリプト)をつくること」と言っている意味は、もう少し分かりやすく言うと、いったいどんなことなのか‥、必ずしも明確ではないのですが、
作者としての賢治は、単に“要らないものを捨てた”というようなことではなく、むしろ“捨てられないもの、沈黙の力によってこそ永久に語り伝えるべきもの”を表現すべく、あえてその明示的テキストの上に“うわ張り
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