笛吹き少年の行くえ(8)/Giton
 
張り”を貼り付けて、ちょうど、教会堂の床に嵌め込まれた墓石が、クリプトの存在を示すように、「かくされた」テキストの存在を示した{注=「かくした」動機ですが、「み神楽」(皇室祭祀令に規定された宮中の神楽)や天岩戸伝説の援用とデフォルメ、という点を見ると、当時としては「不敬罪」にもされかねないこれらの内容を隠蔽するため、ということも考えられます。治安維持法違反の疑いで(おそらく二度以上!!)取調べを受けた経験のある宮澤賢治ならば、自分の死後に家族があらぬ嫌疑をかけられることを恐れるのは、もっともなことだと思うのです。しかし、「かくす」推敲過程が見られるのは、この作品だけではなく、文語詩稿全般にわたって
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