笛吹き少年の行くえ(4)/Giton
 



「日輪雲に没し給へば
 雲はたしかに白金環だ。
 松の実とその松の枝は
 黒くってはっきりしてゐる。

 雲がとければ日は水銀
 天盤も砕けてゆれる
 どうして、どうしておまへは泣くか
 緑の針が波だつのに。

 横雲が来れば雲は灼ける、
 あいつは何といふ馬鹿だ。
 横雲が行げば日は光燿
 郡役所の屋根も近い。

 (あゝ修羅のなかをたゆたひ
 また青々とかなしむ。)」


↑これは、口語詩「〔松の針はいま白光に溶ける〕」の一部。1922年頃の制作かと思われますが、『心象スケッチ 春と修羅』の代表作品「春と修羅」の異稿とされる{注=宮澤清六氏の
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