笛吹き少年の行くえ(2)/Giton
 
る──からです。読者が、この複雑に絡んだつながりを解きほぐすのは、じつに容易なことではないのです。}

「たえまなく流動し、数年毎に清書をくり返されて変貌して行く賢治作品には、唯一決定的なテクストというものはあり得ないのであり、すべては『その都度その都度の達成』と『それからの離脱・転生への動き』とであって、未定稿・完成稿といっても、流動相の一つの断面にすぎない」

「賢治作品の『全集』を編もうとして各作品の最終的形態を集成したとしても、それだけではわずかに作品の一断面をとらえたに止る」(注:入沢康夫『宮沢賢治 プリオシン海岸からの報告』,1991,筑摩書房,p.133)

「それらの草
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