湯豆腐と冷奴/salco
では、本質的に不器用な人だったと言える。
こういう母でもご飯ぐらいは炊けるので、電気炊飯器を仕掛けると芯が
残るのは日常茶飯、ポソポソだったりグチャグチャだったり結構な頻度で
上がりが異なった。確か東芝の、その頃の内釜には目盛がなかったのかも
知れない。しかしヌカ臭くて食べられない時もあった。
後年、飼っている大型犬が母の食べ残しにプイと顔をそむけてとうとう
口をつけなかった事がある。それを私達は笑いの種にしたが、嗅覚と味覚
も先天的におかしかったのかも知れない。姉や私が中学の初日から自分で
弁当を作る事にしたのも、二、三十分早起きして小学校での調理実習を総
動員した方が
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