百鬼繚乱 < 2 >/nonya
明
の迷路からは 人は見えるけど温もり
は受け取れない 街は見えるけど行先
は皆目分からない 君はいつも疲れて
いるのに 壁を作るのを止められない
僕は壁になる 用もないのに
壁になる 時々君は僕にもたれかかっ
て 流れる雲をぼんやりと眺める 僕
はただ見守ることしか出来ない ひと
休みしたら 君はまた壁を作りに行く
のだろう 迷路をもっと複雑にしてし
まうのだろう でも君は
何処に出口があるのか知っている 出
られないのは自分の弱さであることも
もしも夕焼けに涙ぐむようになった
ら 僕はいつでも君の重さを支えてあ
げる 袋小路のどんづまりの壁
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