歯痒さで発芽する/ホロウ・シカエルボク
 
えた恐怖を語るように叫びは生まれ続けて
誰にも届かない場所で微かな反響を残して


僕は犬の死体
僕は猫の死体
僕は君の死体
僕は僕の死体


静かに凍てついた土を踏みしめて
約束されなかった埋葬のために目を閉じる
湖の上を霧が泳いでいる
湖の、上を、霧が、泳いで


連なるものを断ち切れば新しい血が吹き出すだろう
血だまりに爪先を落として、僕は新しい夜の盲目を知るだろう
不確かなもののために生きると到達点はない
そのことは、よく、判ってはいるけれど


たとえば行方不明者の亡骸のように
特定されることなく土に還るとしたら
ただの美しい骨になって

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