歯痒さで発芽する/ホロウ・シカエルボク
 



霧が穏やかに泳ぐ湖面に
君はゆっくりと手を浸して
身を切るような冷たさで世界を確信する
僕は
君の瞳の輝きが心にともす火を


窓は光のことだけを話すものだ
暗闇の時には口をつぐんでいるものだ
形にならない声というものが必ずある
そしてそんなものこそを僕らは語りたがる
たとえば生きているうちに
どんな風に死を知るのかというようなことを


足跡をたどって閉ざされた場所までやってきて
錆びた扉の鍵を破壊して
それは開くのだと教えて欲しい
閉じられたものは開かれるのだと
迎え入れる場所は解き放つ場所でもあるのだと


僕は木立の中に隠れた行方不
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