窓枠屋さん/はるな
。そして少しずつ、一年前のかたちへ戻っていく。どこそこに変化の痕が残るのが悲しいような気がするが、喜ぶべき変化だという人もいてよくわからない。娘にとってはわたしは十か月間の入れ物であったには違いないが、わたしは良い器だっただろうか。あの日望んだとおりに枠をいただいていれば、娘に会うこともなかったのだな。わたしの望みはわたしのかたちをしていない。嘘つきでいじきたないかわいいわたしの不安ちゃんたち。そのうちの多くが窓から出て行ってしまった。
足首にあたらしい紐を結んだ。
わたしはわたしが持つ不安や疑問、問題のすべてから解放されたくないのだと思う。それは長いあいだわたし自身であったから。傾くこと
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